2022年4月7日放送のクローズアップ現代で「物価高騰!値上げラッシュVS.家計の行方」という誰もが身近に感じている話題の内容でした。
物価が高騰しても賃金は上がらない中での庶民の生活はかなり影響を受けます。
番組を見ていくと、この物価高騰はまだウクライナ情勢の影響を今後、受ける予定であるという事でした。
いま起きている「値上げラッシュ」は『始まりに過ぎない』と言われています。
目次
身近なスーパーでの物価高騰
確かに私の地元にある格安スーパーに昨日行きましたが、サラダ油などは目立つくらい高くなっていますね。
会計の時にいつもより高くなっているのは実感します。
いろんな物が上がっているので合計すると全体的に上がりますよね。
栃木県スーパー「かましん」での実態
栃木県のスーパー「かましん」では、値札の張り替えに追われています。
生鮮食品から加工品、日用品までお店で扱う6割の商品が今年に入って値上げしています。
約5%〜10%の値上げになっています。
店長や店員さんの声
この値上げは異常だと思います。
この量の値上げは社員も経験のない量になっています。
取引先から値上げの依頼が殺到していました。
去年の1年分の値上げがここ2か月ぐらいで来ている感じとのことでした。
何故、卸メーカーからの値上げ依頼が殺到しているのでしょうか?
製麺会社での実態
スーパーに麺類などを卸している栃木の「大兼製麺工場」を取材すると実態が明らかになりました。
値上げせざるを得ない理由を製麺会社の大兼社長が説明してくれました。
① 製麺の原料になる小麦が高騰して仕入れ値が去年の18%アップしている。
② 麺を乾燥させるのにボイラー(灯油)と風で乾燥させますが、灯油が33%値上がりしている。
③ 包装が12%の値上げになっている。
④ 出荷用の段ボールが10%の値上げになっている。
1袋200円(税込み)のうどんを210円(税込み)にせざるを得なくなったそうです。
原料だけでなく全てのものが大幅に上がっていますので値上げするしかないのです。
包装紙や段ボールまで上がっているのですね、物流のコストは上がっている認識はありましたが、、。
この動きはもちろん栃木県だけではなく全国で起こっていると考えられます。
かましんの社内ミーティングでは、今後の5~6月からは飼料が高騰の為に精肉関係の値上げは避けられまいだろうと予想されていました。
激安「オーケー」での取り組み
首都圏を中心に134店舗を展開する「オーケー」での取り組みが紹介されました。
「高品質、低価格」を掲げ30年以上売り上げを伸ばし続けるスーパーです。
看板商品は「299円(税抜き)」弁当なのだが、値上げラッシュの中、価格を維持するための会議が行われていました。
仕入れメーカーや包材メーカーとの会議ですが、1円単位のコストの削減をしながら価格を維持していく会議でした。
① お弁当のメインを変えずに副惣菜を見直す。
(例 煮物からきんぴらごぼうに変更、パスタも変更)
② 包材の見直し。
(例 弁当を止めるシールを止めてシールのいらない容器に変更)
大変なコストダウンの会議が行われているのですね。
お弁当を並べて具材を外したりして見ためや重さなどをみんなで見ています。
こうやってコストを見直していくのを知りました。
二宮涼太郎社長のお話
お客様の日常はこういった中でも続いて行くので、知恵を絞りながらスピードアップして対応していく必要がある。
今後の2022年 値上げ予報
みずほリサーチ&テクロノジーズ上席主任エコノミスト 酒井才介さんが独自で、今後の値上げ予想をしました。
① 小麦の不作での高騰
6月から影響が出て来て10月過ぎにはもっと影響が高まる予報。
② 魚 供給減で高騰・肉類 飼料高騰 ・牛乳卵飼料高騰
6月から高騰が年内続く予報。
③ 輸送コスト高・エネルギー高騰
2月から高騰しているが10月に入ると値が元に戻ってくる予報で、電気は夏場にかけてあがる。
*原油価格が1バレル=150ドルに程度まで上昇した場合。
【小麦ショック!9割は輸入だった】の記事はこちらです。
2人以上の世帯の負担試算予想
*年収400万~500万の世帯
年間:7万1203円 月額:5934円
*年収300万~400万の世帯
年間:6万5745円 月額:5478円
*年収300万未満
年間:5万8849円 月額:4904円
特に低所得の方、日用品の支出の割合が高い世帯の方々には負担感が大きい状況が続くだろうと指摘しています。
対応の為の「賃上げ」実現!ゼンショーの取り組み
物価高騰の中、なかなか上がらない賃上げに取り組んでいる大手外食チェーンの「ゼンショーホールディングス」の取り組みが紹介されました。
売り上げは6000億円、従業員数は1万6000人 にのぼります。
創業者の小川賢太郎会長は日本の消費を活性化するためには継続的な賃上げが必要だと考えています。
昨年、労働組合と正社員の賃金を10年連続で増額すると約束しました。
昨年12月には牛丼350円を400円に値上げしました。
今年の春闘では会社側は3.5%で金額にして11,739円の賃上げを提示して合意されました。
過去最高の賃上げになりました。
*調理の自動化など生産性の向上を目指し賃上げの資産の確保にも取り組んでいます。
ゼンショーホールディングス 小川賢太郎会長のコメント
給与を上げて、上がった分の多くを消費に回す事でポジティブな国民経済のスパイラルが回っていくようになる。
こういう構造転換を日本はいま真剣にやらないと沈没し続ける。
ゼンショーホールディングスは「すき屋」が有名ですが、外食事業から小売り事業、介護事業まで幅広い大手企業です。
ゼンショーホールディングスの公式HPはこちらです。
労働者の7割の働く中小企業の賃上げ
ゼンショーホールディングスの賃上げは、物価上昇分を上回るので安心ですが、全国の労働者の7割を占める中小企業の賃上げは進んでいるのでしょうか?
7割とは、ここが変わらないと日本全体の改善にはならないのですね。
この下請け企業にあたる中小企業の賃上げがうまく進んでいないのが現実です。
そこで登場するのが下請けGメンなのです。
中小企業庁の下請けGメンとは?
大手企業と中小企業の取引を監視するのが下請けGメンの役割です。
*下請けとなっている中小企業が大手企業に製品を納入するときの取引価格を大手企業に上げて貰うことが出来れば、賃金がしやすくなります。
そこで中小企業庁は下請けGメンを派遣し、不当な取引がないのか監視や相談に乗り、大手企業に違反があれば「行政指導」を行うことになっています。
下請けGメンの報告会では中小企業からの悲痛な声が上がっています。
① 取引開始以来、値上げを認めてくれる事はなかった。
② 怖くて価格交渉が出来ない。
③ 最悪の場合は全ての仕事を失う可能性がある。
中小企業の悲痛な声が胸に刺さります。
物価上昇の為にも賃上げしたくても原資がないのですから、無理に上げたら倒産するしかありません。
中小企業庁 下請けGメン担当 遠藤幹夫課長によると
「大手が「賃上げ分は転嫁しない、自社で何とかしてください」と言い続けている限りは賃金を上げていくという社会は実現できない。
なので、労務費(人件費)についてもしっかり価格転嫁をしていただけるように対策を進めていきたい。』とのコメントでした。
しかし、怖くて交渉できない企業がたくさんある中で交渉のテーブルに付くのも大変そうですね。
私は、賃金を上げてくださいと言うのが苦手な国民性もある気がします。
大手企業ならゼンショーさんの従業員のように労働組合として交渉も出来ますが、中小企業の勤めでは厳しい印象です。
まして中小企業が大手に交渉するのはもっとハードルが高い印象です。
何か物価上昇に応じて大手企業が取引価格を上げるようなシステムがあるといいですね。
もちろんその分、製品価格も上がるのは仕方がないです。
「中小企業」の賃上げを実現するには?
酒井さんは中小企業の賃上げは、「中小企業での実現」が鍵だと言っています。
*どんな風に実現させればよいのでしょう?
賃金の原資になるための将来の売り上げを伸ばしていく為のビジネスモデルの転換が必要です。
これまで通りの仕事の他に、例えばデジタル化などの活用やオンラインでの販売などの新しい事業に乗り出すなどを経営者に求められています。
グリーン化も考えて環境に良いものの商品化や提供なども考えて行と良いでしょう。
結局のところ大手企業の取引価格交渉も大事だけれど中小企業自体が発想を転換して賃上げの為にもチャレンジしてほしいと言ったメッセージに聞こえました。
「値上げの波」を乗り切る発想の転換
この値上げラッシュの中、チャレンジし続ける企業があります。
三重県の岩崎工業はプラスチック用品メーカーです。
原材料の急激な値上がりで利益が30%も落ち、大きな打撃を受けてしまいました。
原材料が1.5倍の値上がりですが、今後第2次値上げの局面が来ることを岩﨑能久社長は懸念しています。
岩崎工業の取り組み
① 石油に頼らない原料の取り組み
例)原料に竹を半分使いプラスチックを半分の量でゴミ箱を作成。
例)原料に、米や杉を使った製品を作成。
②プラスチックの施工技術を生かし新たな分野に進出
例)針なしの注射器も進めています。
発想の転換で物価高騰で生活の見直し
私達はこの物価高騰で家計簿を見直すきっかけになります。
小麦を多く使っていた家庭は、まだ価格が上がっていないお米を活用していく。
まとめ
ちょうど物価上昇や電気代の節電方法など知りたかった時期でしたので熱心に番組を見てしまいました。
あくまでも予報ですので、当たりハズレはありますが、今年の秋までは電気の節電に目を光らせてみます。
今回なぜ?中小企業の賃金が上がらないのかの仕組みが少し理解できました。
でも7割が日本って中小企業ということを改めて確認し、大手企業も中小企業自体も努力や工夫がいるという印象でした。
とにかく今年は節約暮らしに決定です。