2022年4月13日放送のクローズアップ現代で「成長を続ける100円均一、でも大ピンチ」について紹介されました!
今や私たちの生活必需品の購入店舗でもある100円均一に今大ピンチが訪れています。
この物価上昇や円安で、100均も中国製品が多い中、輸入品の高騰もあり「やっぱり大変だよね。」と想像できます。
番組では色んな視点から100円ショップの現状を取材していました。
目次
売っても売っても利益がでない100均
今、売っても売っても利益が出ないと悩んでいる100円ショップのお店が取材されました。
大阪北区の天六商店街の中にある100円ショップ「シルク」です。
名物ショップ店長の高田日出夫さんは地元の人気者で、売り場には店長が書いた手書きのPOPがあちらこちらにはってあります。
シルク天六店の厳しい経営
コロナが2つの誤算をもたらしました。
1日当たり1000人来ていたお客様がコロナ以降、外出自粛の為に500人に減ってしまい売り上げは半減しました。
この2年間の間で原材料不足や物流コストの上昇などで、仕入れ値が高騰し利益が出なくなりました。
100個売っても利益は100円という商品もあり、人件費や固定費の負担が重くのしかかりました。
この2年で500万円もの赤字を抱え込む事になり、お店の継続の見通しが立たなくなったのです。
大手100円ショップの実情
消費者が安さを求める中、業界全体の店舗数は17%増えました。
そんな中、1店舗あたりの売り上げは月3%減っています。
(2015年と2020年を比較 帝国バンク調べ)
大手4社の対応はどの様になっているのでしょうか?
*セリア 100円均一を維持
*DAISO 高額商品あり
*Can・Do 高額商品あり
*Watts 高額商品あり
業界では一部高額商品を取り入れてきています。
高額商品についての消費者の声は?
*100円ショップだから100円のものだけを売って欲しい。
*100円均一商品って必要だから頑張って続けて欲しい。
私の個人的な意見は、300円だろうが500円だろうが、それ以上の価値があり安いと思えば欲しくなります。
あくまでも100円の商品のある中で、どちらも選択できるなら価値のある方に気持ちが向きます。
ただ100円商品がなくなれば100均ではないのは確かです。
ワッツの取り組み
ワッツではバイヤー達が商品を持ち寄り、どれを店頭に並べるか議論をします。
同じ種類の商品を100円のものと200円のものを比べて、200円の商品の方が機能は良いが100円の商品の方が需要があるとの意見で100円の商品に決まりました。
大手チェーン商品部長 角本昌也さんのコメント
100円の売る力というのは、これはとんでもないですね。
100円の物を200円にしたら売り上げは2分の一、下手したら5分の一というところですね。
もし状況が許すなら100円で売れる時代が戻って来るなら、100円に戻したいと思いますよね。
100円均一は維持できるのか?
こんな物価上昇や仕入れ高騰の中、今までのように100円ショップは維持していく事が出来るのでしょうか?
実は100均の里と言われている都市が中国にあり、その100均の里が鍵を握っていると言われています。
100均の里!中国の義鳥市
中国の浙江省の義鳥市が100均の里といわれています。
何故?義鳥市は100均の里と言われているのでしょうか?
1990年代の義鳥市は元々は貧しい農村地区で家内工業で日用雑貨などを作っていました。
そこに目を付けた日本の100円ショップメーカーが大量に商品を注文し買い付けるようになり、その後、100円均一を支える一大拠点となったのです。
それから30年たった今、義鳥は目覚ましい経済発展をとげ労働者の人件費も高騰しています。
義鳥は中国の政策で中国とヨーロッパを繋ぐ始発駅になりました。
そのため100円ショップの商品を作り続けた工場は、より高値で買い付けてくれるヨーロッパとのビジネスに路線変更していっているのです。
中国 手芸用品工場 副社長のコメント
日本の100円ショップ向けは利益が1割もありません。
ひどいものだとゼロです。
でも欧州向けの利益は高く3割です。
中国 ラッピング袋工場 社長のコメント
日本の100円ショップに輸出しても利益が出ないので中国国内で売った方が日本より儲かります。
この話を聞くと、何だか胸が痛みます。
中国も日本の100均も利益が少ないのがわかりますね、だからダイソーなどは早めに100円以上の価値のある商品もある時期から始めたのかも知れませんね。
家計の味方100円ショップ
家計の味方だった100円ショップですが、プラスチックの高騰で小さくなったり、廃盤になってしまった商品も増えていていて限界に近付いている現実が見えてきました。
どのような変化が製造現場で起こっているのかを、コストカット術などを含めて検証していきます。
100円ガジェット分解人が分析
その驚きのコストカット術を調べたのは「100均ガジェット分解人」の山崎雅夫さんです。
分解することで見えてくるコストカット術を見ていきます。
*100均の電卓 12ケタ
必要最小限のパーツで作られているので耐久性はないかも知れません、100円なので割り切って作られている感じ。
*携帯用充電器
配線が普通は赤と黒に場所を間違えないように色分けしているが同じ黒の色を使っているので、細かいところをコストダウンしているのが垣間見れる。
あくまでも不良品を出さないようにコストダウンされている印象に山崎さんも驚いていました。
山崎さんは「100円ショップのガジェットを分解してみる」という本の著者でとても内部構造に詳しいようです。
雑貨100均メーカーの苦悩
滋賀県にある雑貨メーカーは4割が100円均一の商品が占めています。
雑貨メーカー社長の若林矢寿子さんが説明してくれました。
売れ筋商品の花飾りは5個入りで100円で、お洋服にデコレーションしたりイアリングにしたりと手芸コーナーで売られているのですが、一つ一つ手縫いにこだわって作成しています。
しかしコストがその分かかり、いくら売れても利益が出なくなったそうです。
義鳥市の製造メーカーに相談を持ちかけてみました。
「報酬が低すぎて、この花飾りを作りたがる作業員はいません。そのかわり手縫いではなくて接着材での作業なら作業員は集まりますよ。接着剤に変更なら出来るだけ前と同じ価格を維持しますよ。」
と現状の意見と提案をしてくれました。
話の流れだと義鳥の製造業者の値上げがあってからのお話のようです。
社長は「ボンドだと取れる可能性があるが、100円で喜んで買って下さるお客様がいるという事実がありますので、、、。」
この後、若林さんは接着剤での変更を受けるしかありませんでした。
100円ショップは今後どうなる?
私達の消費者の100円へのこだわりが100円ショップを支えていて一方で彼らを苦しめてもいるわけです。
何か解決策はないかと、東京大学大学院経済学研究所 教授 渡辺努さんに聞いてみました。(物価の研究が専門)
日本の消費者は値上げ嫌いと言われています。
100均の海外の価格
日本 100円
マレーシア 約170円
タイ 約220円
ペルー 約270円~340円
中国 約290円
実は100円の商品は他では2〜3倍の値段で売られているのです。
90年代の金融危機から日本の値上げ嫌いの傾向が今も続いていて他の業種でも値段の据え置きが続いているのです。
負のスパイラルから抜けるには?
値上げ嫌いが続いている現状では、新しいアイディアが生まれても値上げができないので採用されずに業績が上がらない。
業績も上がらないので賃金も上がらないというのでやる気も失いアイディアも出せない。
このような負のスパイラルが生まれているといいます。
渡辺努さんのコメント
売る側が消費者に合わせて頑張って持ちこたえている状態なのですが、これが行き過ぎているのです。
負のスパイラルから抜け出せるには、これを逆転する事なのです。
賃金を上げる事で消費は値上げに対する耐久性が出てきます。
企業もこれによって商品を値上げ出来るので商品も開発しやすくなります。
他の国を見ても出来ているわけだから日本でも出来るはずです。
前回のクローズアップ現代でも賃金の問題は取り上げられました!記事はこちらです。
日本の100均の歴史
もうすっかり根付いている100円ショップですが、昔はありませんでした。
1985年3月に愛知県春日井市に日本初の固定店舗による100円均一の「100円ショップ」をオープンしました。
その後 1991年に現代の「ダイソー」が常設店舗を開設します。
それまではスーパーや百貨店での催事販売が多く、ダイソーの創業者の矢野博丈は商品の品質アップに力を入れて行きます。
バブル崩壊後の不況とデフレがあいまって急速に店舗数が増加し「不況時代の成長産業」とも称されるようになりました。
(参照:ウキペディア)
確かに全国にダイソーの店舗が進出するまでは、スーパーの催事場で100円均一が定期的にあり、スーパーのチラシを見ると喜んで買いに行っていました。
しばらくするとあちらこちらに100均ができて楽しく買い物をしてきました。
品質も「これが100円でいいの?」といった驚きの商品や、100均はたくさんのアイディア商品を生み出して来たところが凄いと一消費者として思います。
こっちのモールはセリア、あっちはダイソーという感じでありますし、それぞれの100均で特徴もあり楽しめます。
今後の値上がりが気になりますね。
100円ショップ「シルク」店長の決断
最初に紹介した高田店長は、売っても売っても赤字のお店を閉める事にしました。
閉店の最後の日は常連のお客様がお別れにたくさん来てくれました。
「この場所を離れるのが、ちょっと寂しいな」
買う側と売る側の理想の商売について高田さんは
「お互いそこそこでええやん、そういうのが日本のええところやった、大変やけどみんなでチームワーク組んでみんなが良くならないとダメなんですよ」
まとめ
100均は、今の私たちの生活を支えてくれているし、面白い商品に出会える楽しい所です。
渡辺さんの言うように賃金が上がれば逆転しだすのでしょうか?
最近はダイソーが300円ごとにシールをくれるのでつい集めてしまいますが、100均の裏事情を今回知りました。
義鳥の製造会社が言う日本に出しても儲からないというのは胸に刺さりました。
高田さんが言うようにお互いそこそこに利益がないと関係は崩壊しそうです。