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「こうのとりのゆりかご」熊本慈恵病院が「内密出産」の導入?で協議

2022年2月18日のニュースで「こうのとりのゆりかご」で有名な慈恵病院と熊本市とで協議が行われた。

「内密出産の母子をどのように守るのか、スタート台に立てた」と大西市長は話した。

との報道がありました。

熊本慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」は2007年から始まり、かなり話題になり世間に色々な問題を投げかけたものでした。

ドラマにもなりましたが「こうのとりのゆりかご」は育てられない子供を救う為だったのですが、「内密出産」の導入をしていたのは知りませんでした。

どのような事で今回の協議が行われたのか気になるところです。

目次

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「内密出産」導入とは?

慈恵病院のHPには、「こうのとりのゆりかご」についての説明が詳しくありました。

が「内密出産」については特記していないようです、ただ望まない妊娠で悩まれている方の相談などが出来るように細やかに記載されていました。

病院側は、母親の情報は知っているが公表しないという事を示しているのではないでしょうか?

内密出産の事例

今回は、昨年11月に10代の女性から相談を受けた病院側が、女性の相談にのりながら12月に慈恵病院で出産して女性は退院済みの状態です。

女性は様々な事情から内密にしないと生きていくのに困窮する事情を抱えています。

ところが、内密での出産のため、出生届の問題があるわけです。

大西市長は内密出産を実施しないように求めていましたが、方針を改めて母子支援のあり方を協議する場を設けると表明しました。

戸籍作成に当たり、病院は子供の出生地と出生日の情報を市に提供。

市は病院に対し、女性が出生届を出す意思がないか再度確認するように求めました。

このような協議が行われたわけです。

元々「こうのとりのゆりかご」は、産んだけれど育てられなくて赤ちゃんを病院に託しに、追い詰められた母親が来るわけです。

なので、産むときが壮絶で自宅だったりして、産む前からかなり精神的にダメージを受けながらだと想像します。

今回の内密出産では安心して病院で産むことが出来たでしょう。

HPを見ると、そのような相談がきっと多いのだと思います。

今回の協議は、行政も、病院も子供の今後の人生に寄り添って考えた結果なのではないでしょうか?

 

「こうのとりのゆりかご」をなぜ始めたのか?

熊本の慈恵病院の取り組みは、すっかり有名なのですが2007年にニュースで聞いた時は世間は賛否両論ありました。

私自身は「凄い先生がいるのだな、世間の評判より赤ちゃんの命を救いたいのだなぁ」」と思っていました。

今回HPをじっくり読んで見ました。

神様から授かった尊い命を何とかして助けることができなかったのか?
赤ちゃんを産んだ母親もまた救うことができたのではなかろうか?
という悔しい思いをし、どうしても赤ちゃんを育てられないと悩む女性が、最終的な問題解決として
赤ちゃんを預ける所があれば、母子共に救われると考え開設しました。

~慈恵病院 理事長 蓮田太二「設立にあたって」より~

蓮田理事長は、今でも起きている赤ちゃんを産んですぐに殺してしまっている事件などを見て、何とかならないものかと思い悩み、方法を調べたり、ドイツに視察に行ったりして開設しています。

2000年頃から、慈恵病院では妊娠に関する悩み相談などを行っていました。

ドイツでの取り組み①

蓮田理事長は生命尊重センターの誘いを受けて、2004年ドイツの取り組みを視察に行きます。

生命尊重センターの公式HPはこちらです。

ドイツでは「ベビークラッペ」というシステムを視察します。

「ベビークラッぺ」とは?

匿名で赤ちゃんを預けれるシステムで、施設の壁に扉をつけ、中に温められたベットがあり、扉を開けてベットに赤ちゃんを置き、ベットの上に置かれている母親宛の手紙を取り扉を締めると再び開ける事は出来なくなります。

その後は施設に赤ちゃんは保護されて、異常があれば入院、無ければ里親に家庭で8週間育てられます。

親が名乗り出なければ実施として養子縁組になります。

*蓮田理事長は、このシステムをたった2〜3年後に日本で初めて開設しています。

2004年のドイツの視察ではこの「ベビークラッペ」は70か所あったのです。

実はドイツでも前は、森やゴミ箱などに廃棄されて、赤ちゃんが亡くなることが多かった事で、心を痛めたお母さんたちが、2000年から保育園の一角にベットを用意したことから始まったのです。

4年後には「ベビークラッペ」として70か所に増えるのです。

ところが、日本で15年たっても、慈恵病院の名前しか聞こえてきません。
増えていないのは何故なんでしょうか?

ドイツの方が問題が大きいのでしょうか?しかし、70か所とはいかなくても、後、6か所ほどで分散していれば、若い女性の方が赤ちゃんを抱えて行ける幅が広がります。

なので今は、全国から思い悩んだ女性が熊本に切羽詰まって訪れているのです。

ドイツでの取り組み②

今回の報道に合った「内密出産」はドイツでは「匿名出産」と呼ばれています。

*妊婦のかっとう相談窓口

出産に困難な事があれば、この窓口で相談できるようになっています。

ドイツの基本法では「胎児の権利」が謳われています。

人間の尊厳や尊重、保護は胎児までに及んでいます。

*匿名出産

自宅での出産は母子ともに危険であり「匿名でよいから施設での出産を」と施設での出産を勧めています。

マザーチャイルドハウスで8週間生活した後は、自分で育てるか、養子に出すか決めます。

マザーチャイルドハウスまでには行きませんが、今回の慈恵病院では、この妊婦かっとう相談窓口と、匿名出産に取り組んだのだと思います。

15年の活動の取り組みの中、ゆりかご基金などの応援の中、胎児の命を優先したのだと考えます。

妊娠中は、問題がなくても精神的に追いつめられるものです。出産が困難な状態での妊娠は本当に、産むまでや産んでからの生活を考えると辛いと想像できます。

子供に対する考えの違い

日本には「子供は親のもの」という考え方が強くあります。

確かに虐待問題など親のしつけなのか、虐待なのか、ひどくならないと児童相談所も動けない社会に見えます。

ドイツでは「子供は社会のもの」という考え方をします。

日本よりもずっと先にこの問題に積極的に取り組んでいるのは、家庭での教育はもちろん、社会が育て社会が教育するという明確な意識があります。

(慈恵病院のHPより抜粋しています。)

同じ「もの」の表現ですが、意味合いが全然違いますね。

今は、児童の虐待が急激に事件になっている世の中です、「子供は自分のもの」だから干渉しないで!っていう声が聞こえてきそうです。

慈恵病院のHPはこちらです。

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まとめ

何度も、耳にした事がある「こうのとりのゆりかご」でしたが、今回の報道で慈恵病院が、母子を危険にさらさないように「内密出産」に取り組んだことを知りました。

内密にするのは、相談を何度も重ねての決断だったと考えます。

産む前からの相談も多いのだと思います。

若い女性たちが思い悩み、相談できない中、相談できる場所があるのは心強いものですね。

もう子供は「親のもの」ではなく「社会の宝」として大切に育てなくてはいけない時代です。
子供と母親の命を救いたいと言う、蓮田理事長の熱意の表れですね。